料理上達にもご利益があると言われている神社の物語


 

日本各地の神社には、学業の神様とか繁盛の神様といったように実に多くの神様が祀られていますよね!
中には、独自性を生かした神社とか地域に伝統に関係のある神様が祀られている神社も沢山存在しているとも聞いたことがあります。
そんな中、金沢市には全国でも非常に珍しい香辛料の神様が祀られている神社が、あるんです (@@)
その名も「波自加彌神社」(ハジカミ神社)という、一度聞いたなら忘れられないほどインパクトの強い名前ですね。
漢字で書くとかなり難しいながらも名前の響きや語呂は結構いい名前ですけれど、何故にこの神社と香辛料が関係しているのでしょうか!?
それには、こんな伝説が残されているのです♪


 

波自加彌神社は金沢市の北部に当たる二日市町に所在している神社で、鳥居の付近には現在でも用水が流れていて全体的に林に覆われた高台にお社があるのです!
全国でも類を見ない唯一の香辛料の神様が祀られていて、健康成就や料理の上達のご利益があるということで、
スパイスを扱うメーカーや料理店の店主などが必ず参拝に来るほどの神社としても知られています。
この社名は若干当て字ですが、同じ発音をする「ハジカミ」というのは、歯で噛んで辛いものの古い言い方のことで、
山葵や山椒や生姜などを一まとめに括って昔はこう呼ばれていたのです。


 

時は遡ること奈良時代、この辺り一帯は加賀の国と呼ばれていた所ですが、ある時数ヶ月間も降雨がなくて大干ばつに見舞われ、
多くの人たちが渇死するという事態にまで発展してしまったのです。
日照り続きの際に神仏に雨が降るようにと祈る儀式を「雨乞い」と言いますが、国造(コクゾウ、コクソウ)という現在で言うところの知事に当たる方が、
この神社に鎮座し身を清めて断食をしてひたすら祈願し続けたのです。
そして、祈願すること37日目の満願日に、この神社の近くからこんこんと霊水が湧き出たことで、長い旱魃から人々はやっとの思いで救われたのです。
そこで、その神様に報いるために供え物を探したものの、あれだけ長く続いた干ばつなので当然めぼしいものが見つかるはずもありませんでした。
それで困り果てていたところ、本当にたまたま日照りの中でも生き延びていた生姜を見つけ、人々はこれを献じてお祭りを行って感謝の意を捧げたとされています!
このお祭りが執り行われたのが旧暦の6月15日だったことから、それが転じて毎年6月15日には「はじかみ大祭」という奇祭が開かれるようになったのでした。


 

ちなみに、この波自加彌神社は初めはここから若干離れた市内の四坊高坂町というところにありましたが、現在は再建されて旧宮跡として残されており、
奈良時代に旱魃を救った湧き水は「黄金清水」(こがねしょうず)と呼ばれており、現在でも変わらず流水がこんこんと湧き出ています。
雨乞いをして霊水が湧き出たことも本当にありがたいことですが、大旱魃の中でも精一杯生き延びた生姜の生命力にも圧倒されるものがありましたね (@@)
この大祭は「生姜祭り」という別名もあり、この霊水を使用した生姜湯が参拝者に振舞われるそうですよ。
この日は、全国の生姜の産地はもちろんのこと、香辛料を扱った製品が本殿に所狭しと奉納されている光景は、本当に比類のない珍しい光景なんだそうですよ!
他には、石川県漬物商工業協同組合が主催する漬物・生姜の奉納川柳大会が執り行われたり、
調理研究会の方々によるはじかみうどんやしょうがの箱寿司なども振舞われるので、大変貴重な大祭と言っても過言ではないでしょう。


 

このはじかみ大祭が行われていることが切欠となり、2009年(平成20年)に、お茶漬けやマーボー春雨でも有名な株式会社永谷園が、
6月15日を「生姜の日」という記念日として制定したのです。
あまり知られていませんが、永谷園は実は生姜の研究にも取り組まれていて、「多くの人に生姜の魅力を知ってもらうきっかけの日」という目的で制定されたと言われています。
生姜は皆さんもご存じのように、薬味や料理のアクセントとして世界中で親しまれている香辛料野菜ですが、
食べる万能薬と言われているくらい天然の生薬としても世界的に親しまれてきました!
なので、波自加彌神社にお祀りされている神様は料理上達・健康成就の他にも、医薬の神様としてもご利益があるとされているので、
医療関係の方々も遥々参拝しにいらっしゃるんですって。
私自身も、小さいころから風邪を引いたときはいの一番に生姜を食べていたほど大好きな食材ですが、
金沢に観光に行った際に市内で生姜を食するたびに、由来とともに必ずこの神社のことを思い出しています。
実際にこの神社に参拝することはなかなかできませんが、いつかはこの大祭に参列してみたいものですね!
余談ですが、生姜のことを英語でgingerと言いますが、生姜祭りが神社で開かれたら紛れもなく「ジンジャー神社」ってことになりますよね♪(爆笑)


 

ということで、○○の神様というのは香辛料の神様のことで、身近な食材を冠下記念日は6月15日の「生姜の日」ということなのでした!
せっかく由緒ある由来を粛々とお伝えしてきたのに、最後の最後でダジャレめいた変な落ちへと脱線してしまい、失礼しましたm(__)m
そんなわけで、コロナ騒ぎの1日も早い収束を祈りながら、このコーナーを閉めたいと思います☆本日もお付き合いいただき、ありがとうございましたm(__)m



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